日本農村医学会理事長あいさつ
2025年10月23日に開催された日本農村医学会第209回理事会にて理事長を拝命した新潟県厚生農業組合連合会佐渡総合病院病院長 佐藤賢治です。2021年10月の第23期理事長、2023年10月の第24期理事長に引き続き、3期目となる第25期理事長を務めてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
日本農村医学会は1952年に設立され、1961年には日本医学会に50番目の分科会として加盟しています。理事長は初代の若月俊一先生から登内眞先生、林雅人先生、山根洋右先生、藤原秀臣先生、早川富博先生、新谷周三先生を経て8代目となります。歴史ある学会の理事長として3期目になるものの、心新たに臨む所存です。
日本の少子高齢化は世界が経験したことがない速度で進み、多くの社会課題が積み上がっています。長寿化は医療福祉の発展の成果そのものですが、社会保障費財源の逼迫、高齢者への生活支援需要の増加などの副作用も顕在化しています。中でも生産年齢人口の急減は社会を支える人口の減少を意味し、出生数の急減はこの問題が悪化し続けることを約束します。一方で、世の中はかつてと比較ならないほど豊かになりました。誰もがスマホを持ち、へき地でもほとんどの物資が手に入ります。豊かな社会を維持するために働き手の負担が増す矛盾が現在の問題の根幹にあるように思います。この矛盾は「DXの推進」だけでは改善できず、苦しさを個人に閉じ込めない工夫が必要ではないでしょうか。ここに連携の大きな意義があります。医療福祉領域では、様々な従事者が住民の時間軸を基軸に関わっていく中で、対話を通じて苦労や成果を分かち合い、助け合いながら互いに敬意を抱く意識を醸成することが連携の本質と考えます。
日本農村医学会は全国の厚生農業協同組合連合会病院(厚生連病院)と多くの大学・研究機関から構成され、約5,000名の会員を擁します。厚生連病院は施設会員と位置づけられ、医師以外の所属職員は登録会員でなくとも学術集会発表や論文投稿が可能です。このため、当学会には医療資格者や研究者から病院事務職まで職種を越えた多様な知見が集まります。また、農薬中毒や農機具災害に関する研究、農村の生活習慣病に関するコホート研究が継続プロジェクトとして進められています。2023年からはどの地域にも適用可能な連携の基本概念を策定するプロジェクトを開始しました。いずれのプロジェクトもインパクトある成果を上げてきています。設立当初から多職種で農村を見つめてきた当学会は、少子高齢化が急速に進む社会に貢献できる学術団体であり、当学会の価値、役割、責務は明確です。
今後も学会の役割・責務を見つめ続け、未来に資する提言を発信していきます。未来を創造していく源泉は多くの力の結集であり、この結集と創造が私たちの誇りにつながります。会員のみなさまには積極的な学会参加を、学会外の方々には当学会へのご支援、アドバイスを心よりお願い申し上げます。
2025年10月 日本農村医学会理事長 佐藤賢治