農機具災害部会
1.統括責任者:伊澤 敏・佐久総合病院臨床顧問
2.研究期間 平成17年5月〜
3.研究協力施設および調査方法
(1)承諾を得た全国の厚生連病院から農機具災害の症例について報告を受ける。
(2)厚生連病院の医師が特別指定医となっている都道府県の共済連県本部からJA共済の生命・傷害共済事故状況報告の農作業関連事故によるものの報告を受ける。
4.研究目的
農機具災害による死亡はここ10年減少傾向にあるものの、平成28年は312名と300名を超えている。また、死亡事故に至らないケースは年間数万件に及ぶものと考えられる。しかし、そうした災害の届出制度は無く、全国レベルの実態は明らかになっていない。農機具災害部会は、農機具によるものを中心に農業災害の全国的発生状況を経年的に把握し、もってその対策の研究を主たる目的とする。
5.令和5年度研究概要
(1)農作業安全教本に係る活動
令和5年10月20日、秋田市「秋田芸術劇場ミルハス」にて農薬中毒部会との合同部会を開催。農作業安全教本および日韓合同シンポジウムについて協議。
令和5年12月19日、JA共済連と農作業安全教本に係る打合せ会を開催(立身名誉会員・大浦評議員・浅沼評議員)。
令和6年2月21日、長野県佐久市「農村保健研修センター」にて、農作業安全教本に係る打合せ会を開催(大浦評議員・浅沼評議員)。
令和6年3月27-28日、富山県高岡市「厚生連高岡病院」にて、農作業安全教本に係る打合せ会を開催(大浦評議員・浅沼評議員)。
令和6年6月14日、佐久総合病院にて、農作業安全教本に係る打合せ会を開催(大浦評議員・浅沼評議員)。翌日15日、「医療事故防止ワークショップ」(佐久総合病院主催)に参加(伊澤副理事長・浅沼・大浦)。その後、打合せを受けて、メールにて伊澤副理事長・立身名誉会員・垰田・浅沼・大浦と意見交換。
(2)日韓合同シンポジウム「農作業安全シンポジウム」の開催
コロナ禍で令和2年度以降休止していた日韓合同シンポジウム「農作業安全シンポジウム」を、第72回学術総会に合わせて令和5年10月21日に盛岡市にて開催し、20名が参加した。韓国からは、日本の農研機構にあたる農村振興庁から農作業安全課課長、農村支援局の農業研究士2名が参加。韓国に於ける国を挙げての取り組みの報告があった。韓国参加メンバーの希望により、同年10月23日に農研機構(埼玉・大宮市)を見学し、その後、JA全厚連会議室(東京・千代田区)にて農林水産省およびJA共済連との意見交換会を開催した(大浦評議員参加)。
(3)その他の主な活動
令和5年12月18日、農林水産省主催「第8回農作業安全検討会」に大浦評議員が出席。翌19日には、農林水産省と農作業安全教本に係る打合せを行った。(伊澤副理事長・立身名誉会員・大浦評議員・浅沼評議員)
令和6年2月22日、農林水産省主催「農作業安全対策全国推薦会議」に大浦・栁澤評議員が出席。
令和6年5月31日に日本農業労災学会主催の第4回農業労災ワークショップ「農業者の労災保険の特別加入を進めるためには何が必要か-特別加入制度の現状や課題を踏まえてー」(オンライン開催)に大浦・垰田・栁澤評議員他が参加した。
6.令和6年度計画
(1)事業方針
農作業事故防止啓発のための教材作成
全国農作業事故防止対策連絡協議会への主導的関与
農薬中毒部会と連携し、教育教材の活用推進
(2)調査研究項目と研究内容
これまで実施した農作業事故に関する調査結果を『農作業安全教本』に反映させ、令和6年度完成させる。
(3)JA共済連と連携した農作業事故未然防止策に向けた取り組み推進
JA共済連と農作業事故データ分析の検討推進。
(4)研究成果の発表等
1.特別研究プロジェクト企画での発表
第73回学術総会「特別研究プロジェクト企画」において、農機具災害部会では、大浦評議員、金哲洙(日本農業新聞論)、清水薫(JAえちご上越)が発表する。
2.調査研究報告書、日本農村医学会学術総会にて発表
3.日本農村医学会雑誌に、「シリーズ:農作業安全への提言」等として発表する方向で検討
(5)2024年国際農作業安全セミナー・第13回日韓合同「農作業安全シンポジウム」
2024年国際農作業安全セミナー・第13回日韓合同「農作業安全シンポジウム」は、9月10日に韓国・農村振興庁国際会議場(全羅北道全州市)にて開催される。参加者は、韓国農村振興庁、関連機関、学会の関係者など100人、日本からは伊澤副理事長・大浦評議員および農研機構、台湾からは台湾大学、台湾政治大学などが参加。発表内容はIOTを基盤とした農機事故の予防システム(韓国)、農機及び農作業安全調査研究(日本)、農作業安全に関する制度の現状(台湾)などが予定されている。
(6)令和6年度 経費見込額 概算260万円
7.今後の活動方針
今後も農林水産省、JA共済連、韓国農村振興庁など関係機関・部署と連携を図り、農作業安全対策に寄与する。
また、新しいメンバーの部会加入促進を図る。
外国人向けパンフレットの解説書などの更新は、当面は作成したメンバーが適宜更新し、後任に託したい。。